Ｄｏｌｃｅ.Ｔ

日付が変わる宵闇の中、扉をノックする音が静かに響いた。
ようやく現れた相手の顔をみては思わず口角が上がる。
　

　カツリ…
　　

何でもないように立ち上がり傍へと足を向け、他愛のない会話を少し交える。
互いの問答に噛みあわない答え。今宵は少し簡単に解けたよう。

祝いの言葉と腕の他に何を望むだろう。
そう、今日は私の…。

少しして相手が包み物を差しだすものだから。
受け取ったは良いけれども…（ペンが折れた様だ）

…去年もしてやられたんだったわ。
すっかり忘れていたのに今年は更にグレードアップしているなんて…！
色んな意味で悔しかったわ！

その後に間に合わなかったものがあると聞いて、更に償いにと…

（信じられないものをみるような顔）

あ、あ、あの人がケーキを焼くなんて…
呆然としてしばらく言葉が出てこなかったじゃない。

どうりでエプロンを…。小さなケーキが妙に似合ってて少し笑ってしまったのは秘密。
何よりあのメフィが、ケ、ケーキを。
ふふ、どんな顔をして作ったのかしら。
流石はプライドの高い悪魔、器用ね。味は完璧よ。
（勿体ないと思えど美味しい時に食べるべし。綺麗に完食）

食後の紅茶も注がれたものだから驚いたけれど、何を意図してのことかと思えば…成程。
まぁいいわ。紅茶は美味しく頂きます。
だって… ねぇ？（含み笑いを零せばクスクスと）
 

有難う。最高に贅沢な一日だわ
（我儘を一つ背中に零して一度目の夜が訪れる。今日という日は、まだ始まったばかり…）